ChatGPTを仕事や日常生活で使っていると、文章を作ってもらうために、詳しい情報を入力したくなることがあります。
しかし、入力する内容によっては、個人情報の漏えい、職場の規則違反、秘密情報の流出につながる可能性があります。
「名前や住所を入力しても大丈夫?」
「会社の資料をそのまま貼り付けてもよい?」
「患者情報を匿名にすれば使える?」
このような疑問を持っている人も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、ChatGPTには、第三者に見られたら困る情報をそのまま入力しないことが重要です。
特に、個人情報、患者・顧客情報、パスワード、会社の機密情報などは、そのまま入力してはいけません。
この記事では、ChatGPTに入力してはいけない情報を7種類に分けて、初心者にもわかりやすく解説します。
安全に使うための匿名化方法や設定も紹介するので、仕事でChatGPTを活用したい人は参考にしてください。
ChatGPTに入力してはいけない情報は7種類
ChatGPTに入力しないほうがよい主な情報は、次の7種類です。

| 種類 | 主な例 |
|---|---|
| 個人情報 | 氏名、住所、電話番号 |
| 患者・顧客情報 | 病歴、相談内容、契約情報 |
| 認証情報 | パスワード、暗証番号 |
| 会社の機密情報 | 未公開資料、売上情報 |
| 決済情報 | クレジットカード番号 |
| 第三者の非公開情報 | 職員名簿、連絡先 |
| 公開前の重要情報 | 新商品、人事、研究データ |
基本的な判断基準は、次のとおりです。
インターネット上に公開されても困らない情報かどうか
少しでも公開されると困る情報であれば、そのまま入力せず、削除・匿名化・抽象化してから利用しましょう。
1.氏名・住所・電話番号などの個人情報
最初に注意したいのが、個人を特定できる情報です。
入力してはいけない情報の例
- 氏名
- 詳細な住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 生年月日
- 顔写真
- マイナンバー
- 運転免許証番号
- 社員番号
- 学籍番号
これらの情報を単独で入力するだけでなく、複数の情報を組み合わせることにも注意が必要です。
例えば、氏名を書いていなくても、次のような情報がそろうと個人を推測できる可能性があります。
- 年齢
- 性別
- 勤務先
- 役職
- 居住地域
- 家族構成
- 特定の日付
- 特徴的な出来事
名前を消しただけでは、十分に匿名化できていない場合があります。
安全な書き換え例
悪い例:
○○県〇〇市に住む、52歳の山田太郎さんへの案内文を作ってください。
安全性を高めた例:
50代の利用者Aに向けた、わかりやすい案内文を作ってください。
氏名だけでなく、地域、年齢、職業なども必要以上に詳しく入力しないことが重要です。
2.患者情報・顧客情報・相談者情報
医療、介護、福祉、教育、法律、金融などの業務では、特に慎重な対応が必要です。
入力を避けるべき情報
- 患者の氏名
- 病名や既往歴
- 検査結果
- 治療内容
- カルテの記載内容
- 顧客の相談内容
- 契約情報
- 家庭環境
- 学校の成績
- 金融資産や借入状況
例えば、患者説明文を作成する場合でも、カルテの内容をそのままコピーして入力するのは避けましょう。
医療情報を扱う場合の書き換え例
悪い例:
山田太郎さん、74歳、〇〇病院に入院中。右大腿骨頸部骨折の手術後で、独居です。退院説明文を作ってください。
安全性を高めた例:
高齢の患者Aが下肢の手術後に自宅退院する場面を想定し、一般的な注意点を説明する文章案を作ってください。
ポイントは、次の3つです。
- 個人を特定できる情報を削除する
- 症例を必要以上に詳しく書かない
- 実在する患者ではなく、一般化した事例として相談する
なお、匿名化しても、所属する医療機関や勤務先の規則によっては生成AIへの入力自体が認められていない場合があります。
業務で利用する前に、所属組織の情報セキュリティ規程を確認してください。
3.パスワード・認証情報
パスワードや認証情報は、ChatGPTに限らず、外部のサービスへ入力してはいけません。
絶対に入力しない情報
- ログインパスワード
- 暗証番号
- ワンタイムパスワード
- APIキー
- アクセストークン
- 秘密鍵
- Wi-Fiパスワード
- 復旧コード
- 本人確認用の秘密の質問
APIキーとは、外部のサービスやプログラムを利用するときに使う、パスワードのような文字列です。
プログラムのエラーをChatGPTに相談するとき、コードの中にAPIキーが含まれている場合があります。
コードを入力するときの対策
入力前に、次のように置き換えましょう。
悪い例:
API_KEY=実際に使用している文字列
安全性を高めた例:
API_KEY=YOUR_API_KEY
すでにパスワードやAPIキーを入力してしまった場合は、会話を削除するだけでなく、該当するパスワードやキーを変更・無効化することが重要です。
4.会社や職場の機密情報
ChatGPTを仕事で利用するときに、特に注意が必要なのが会社の情報です。
入力を避けるべき会社情報
- 社外秘の資料
- 未公開の売上情報
- 顧客名簿
- 職員名簿
- 会議の議事録
- 開発中の商品情報
- 未公開の企画書
- 人事評価
- 採用候補者の情報
- 契約書
- 取引先との交渉内容
- 社内システムの構成
- セキュリティ上の弱点
「文章を要約してほしい」「会議内容を議事録にしてほしい」という場合でも、社内資料をそのままコピーするのは危険です。
安全性を高める方法
例えば、企画書の文章を添削してもらう場合は、次のように情報を置き換えます。
- 会社名 → 企業A
- 取引先名 → 取引先B
- 担当者名 → 担当者C
- 商品名 → 商品A
- 売上金額 → 数値を丸める、または仮の数値にする
- 日付 → 20XX年X月
- 地域 → 都道府県または地方レベル
ただし、匿名化すれば必ず入力できるわけではありません。
会社が生成AIの利用を禁止している場合や、指定された法人向けAIサービスしか利用できない場合もあります。
個人の判断で社内情報を入力せず、会社の利用ルールを優先してください。
5.クレジットカード番号・銀行口座などの決済情報
お金に関係する情報も入力してはいけません。
入力を避けるべき決済情報
- クレジットカード番号
- 有効期限
- セキュリティコード
- 銀行口座番号
- インターネットバンキングの情報
- 証券口座のログイン情報
- 電子マネーの認証情報
- 暗号資産ウォレットの秘密鍵
家計簿の分析を依頼する場合も、実際の口座番号やカード番号は必要ありません。
次のように、項目と金額だけに整理して相談しましょう。
食費5万円、通信費1万円、保険料2万円という家計について、見直せる項目を整理してください。
金融に関するAIの回答は、必ずしも正確とは限りません。
重要な判断は、金融機関や専門家の情報を確認したうえで行ってください。
6.他人の非公開情報
自分の情報だけでなく、家族、同僚、顧客、患者など、第三者の情報にも注意が必要です。
入力してはいけない例
- 同僚の評価や勤務状況
- 上司との個人的なやり取り
- 顧客の連絡先
- 家族の病気や収入
- 子どもの学校や成績
- 採用応募者の履歴書
- 相談者の悩み
- メールやチャットの全文
他人から受け取ったメールをChatGPTで要約する場合も、送信者の氏名、メールアドレス、会社名などが含まれている可能性があります。
必要な部分だけを抜き出し、個人情報を削除してから利用しましょう。
7.公開前の企画・研究・人事情報
公開前の情報も、入力を避けるべき情報です。
具体例
- 発売前の商品情報
- 公開前の記事
- 未発表の研究データ
- 学会発表前の個人情報を含む症例
- 特許出願前のアイデア
- 組織再編の情報
- 異動や退職に関する情報
- 買収や業務提携の情報
- 公開前のキャンペーン内容
自分で作った文章や企画であっても、勤務先や取引先が権利を持っている場合があります。
公開前の情報を扱うときは、情報の所有者や利用条件を確認してください。
ChatGPTを安全に使うための4つの方法
入力してはいけない情報を覚えるだけでなく、安全に使うための習慣を身につけることが大切です。

1.匿名化してから入力する
匿名化とは、個人や組織を特定できない形に情報を書き換えることです。
例えば、次のように置き換えます。
- 山田太郎 → 患者A
- 株式会社〇〇 → 企業A
- 〇〇病院 → 医療機関A
- 〇〇市〇〇町 → 地方都市
- 2026年7月21日 → 20XX年X月
- 具体的な金額 → 仮の金額または範囲
ただし、名前を消しただけでは匿名化にならない場合があります。
年齢、職業、地域、家族構成などを組み合わせると、個人を推測できることがあるためです。
2.必要な情報だけ入力する
ChatGPTに相談するときは、回答に必要な情報だけを入力しましょう。
これをデータ最小化といいます。
例えば、文章の敬語を直してもらうだけなら、相手の本名、電話番号、住所などは必要ありません。
入力前に、次のように考えてください。
この情報がなくても、ChatGPTは回答できないだろうか?
なくても回答できる情報は、削除してから入力しましょう。
3.データコントロールを確認する
ChatGPTには、会話をモデル改善に使用するかどうかを管理する「データコントロール」があります。
設定画面の「データコントロール」から、「すべての人のためにモデルを改善する」をオフにすると、新しい会話がモデルの改善に使用されないよう設定できます。
ただし、この設定をオフにしても、個人情報や機密情報を自由に入力してよいわけではありません。
設定に頼るのではなく、重要情報を入力しないことが基本です。
設定画面や名称は変更される可能性があるため、実際に操作するときはOpenAIの公式ヘルプを確認してください。
4.一時チャットを使う
履歴やメモリに残したくない一般的な相談では、一時チャットを利用する方法もあります。
OpenAIの公式情報では、一時チャットには次の特徴があります。
- チャット履歴に表示されない
- メモリを作成しない
- モデルの改善に使用されない
- 安全上の目的で一定期間保持される場合がある
一時チャットを使用する場合も、個人情報や会社の機密情報を入力してよいわけではありません。
一時チャットは、機密情報を安全に入力するための機能ではないと理解しておきましょう。
入力前に確認したい5つのチェック項目
ChatGPTに文章や資料を貼り付ける前に、次の5項目を確認してください。

- 氏名、住所、電話番号が含まれていないか
- 患者、顧客、職員などの情報が含まれていないか
- パスワードやAPIキーが含まれていないか
- 会社の未公開情報が含まれていないか
- 公開されても困らない内容か
1つでも不安がある場合は、そのまま入力せず、情報を削除・置換してください。
入力してよいか迷ったときの判断基準
入力してよいか迷った場合は、次の順番で判断します。
ステップ1:公開されても困らないか考える
公開された場合に、自分、家族、患者、顧客、会社などが困る情報は入力しません。
ステップ2:入力する必要があるか考える
回答を得るために必要のない情報は削除します。
ステップ3:匿名化できるか考える
氏名や会社名を、患者A、企業Bなどに置き換えます。
ステップ4:職場の規則を確認する
業務に関する情報の場合は、勤務先の生成AI利用ルールを確認します。
ステップ5:判断できない場合は入力しない
安全性を判断できない場合は、入力を見送ることが最も確実です。
理学療法士としてAIを使う際に意識していること
私は理学療法士として、研修資料、患者説明文、情報整理などに生成AIを活用しています。
ただし、実在する患者の氏名、カルテ情報、検査結果などをそのまま入力することはありません。
例えば、患者説明文を考える時は「高齢の患者A」、「上肢や下肢の手術後」といった一般的な条件に置き換え、個人を特定できない形で使用しています。
また、AIが作成した説明文はそのまま使用せず、医学的な内容や表現を自分で確認し、その上で再度AIを使用して修正したりしています。
生成AIは便利な道具ですが、情報を入力する人と、回答を使用する側の確認が欠かせないと考えています。
ChatGPTに入力してはいけない情報に関するFAQ
Q1.ChatGPTに本名を入力すると、すぐに情報が漏れるのですか?
本名を入力しただけで、すぐに第三者へ公開されると断定することはできません。
しかし、個人情報を外部サービスへ入力することには一定のリスクがあります。
回答に本名が必要でない場合は、「利用者A」「担当者B」などに置き換えることをおすすめします。
Q2.データコントロールをオフにすれば、会社の資料を入力しても大丈夫ですか?
大丈夫とは限りません。
データコントロールの設定と、会社の機密情報を入力してよいかどうかは別の問題です。
会社の資料を扱う場合は、勤務先の生成AI利用規程や情報セキュリティ規程を確認してください。
Q3.一時チャットなら患者情報を入力できますか?
一時チャットであっても、実在する患者の個人情報や診療情報を入力することは避けるべきです。
一時チャットは、履歴やメモリへの保存を抑えるための機能であり、患者情報を自由に入力するための機能ではありません。
Q4.間違ってパスワードを入力した場合はどうすればよいですか?
会話を削除するだけでなく、入力したパスワードを速やかに変更してください。
APIキーやアクセストークンの場合は、サービス側で無効化し、新しいキーを発行します。
同じパスワードを他のサービスでも使っている場合は、そちらも変更してください。
Q5.自分で書いた文章なら、すべて入力しても大丈夫ですか?
自分で作成した文章でも、患者情報、顧客情報、会社の機密情報、第三者の著作物などが含まれている場合は注意が必要です。
文章の作成者だけでなく、含まれている情報の所有者や利用条件も確認しましょう。
まとめ|ChatGPTには公開されても困らない情報だけを入力する
ChatGPTを安全に利用するためには、便利さだけでなく、入力する情報にも注意する必要があります。
特に、次の情報はそのまま入力しないようにしましょう。
- 氏名、住所、電話番号などの個人情報
- 患者、顧客、相談者の情報
- パスワードやAPIキー
- 会社や職場の機密情報
- クレジットカードや銀行口座の情報
- 家族や同僚など第三者の非公開情報
- 公開前の企画、研究、人事情報
安全に使うための基本は、匿名化・データ最小化・職場規則の確認・人による最終確認です。
入力してよいか迷ったときは、「公開されても困らない情報か」を基準に判断してください。
判断できない場合は、入力しないことが最も安全です。
ChatGPTを正しく使えば、文章作成、情報整理、アイデア出しなど、多くの仕事を効率化できます。
安全な使い方を身につけたうえで、少しずつ活用範囲を広げていきましょう。
※AIの回答は参考情報です。医療、法律、金融、情報セキュリティなどの重要な判断は、公式情報や専門家への確認を行ったうえで実施してください。
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